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【POP SHOP TOKYO】
映画「WILD STYLE」のイラストデザインを手がけた鬼才キース・へリングの描くポップアートの世界と葛井夫妻の映画観、人生観が融合し実現。当時、日本のユース、ポップカルチャーの中心・原宿の新名物として大盛況したキース・へリングデザインのTシャツなどのグッズ・ショップ。そのインパクトは単なるいちショップのそれではなく、また原宿界隈の若者たちにとどまらず、その枠をこえ多くの人々へ多大な影響をあたえた。

POP SHOP TOKYO

以下、『CITY ROAD』1988年3月号インタビューより

「ショップのアイデアは、地下鉄アートの延長線上にあるんだ。アートが一握りのコレクターやインテリの所有物になるのではなくて、あらゆる人々とのコミュニケーションのメディアになることこそ、僕の目指すところだから。」

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キース・ヘリング

アートが一つのコミュニケーションのメディアになるような動きは、どうして出てきたんでしょう?

芸術家は、周りの環境に反応して作品を生み出している。世界は、ここ20年間でいろんなテクノロジー開発されていったけど、それに合わせて芸術家というものも変わっていったと思うんだ。世界がどんどん変わっていく時には、反応の仕方というのがいろいろあるけど、一つの反応としては、スタジオに一人で篭って、ペインティングをするようなトラディショナルに、昔に戻ろうとする反応がある。 それと反対に、もう一つは、変化し進歩しつつあるテクノロジーと一緒にものを作り出していく反応があると思うんだ。後者の中には作品を極端なところまで人工的にもっていってしまっている人がいて、そういう作品は、論理的にはおもしろいと思うけれども、僕には冷たすぎる。感情のないものに見えるんだ。

シルクスクリーン

2つの反応、あなたはどちらに属するんですか?

僕は、前者でもないし、後者にも入らないよ。その2つの中間を歩もうとしているんだ。テクノロジーの力を認識しながらも、自分の精神や感情と結びつくものを作り出していくのが、僕のやり方だ。これから先のアートがすべて僕のやっている方向にいくとは思わないけど、アンディ・ウォーホルから僕が学んだように、僕のやっていることを出発点として、いろんな人たちが、違った方向へとアートをもっていくんじゃないかな。

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なるほど、ところでお店はいつまで続けるつもりですか?

おもしろくなくなるまで。今はまだコミュニケーションや、影響力があると思う。大衆にわたる数だけを作るとアートの価値が落ちるとは思わない。美術館へ行って、デッカイ絵の前に立って受けるパワーと、印刷されたポスターやTシャツから受けるものはもちろん違う。でも、その違いは僕の中では整理されているから、僕のやり方は間違いじゃないと思う。大衆とのコミュニケーションは薄らいでいないと思うな。

キース・ヘリング

それならば、もっと多くの人たちに作品がいきわたるようにしてくれませんか?NYと東京だけでは、あなたの作品を欲しくても手に入れることができない人がたくさんいると思うのです。例えば、音楽のレコードとライブのように分けて、作り出すことは無理ですか?

自分にも矛盾があると思う。ドーンと皆にいきわたるようにしたいと思う反面、最後のところで"アート意識"みたいなものが働いて、全部商品化してしまうと危ないなと思ってしまうんだ。Tシャツもある程度、守りたいと思ってしまうんだ。Tシャツを撮った写真は、どの雑誌に載っても、どうなっても平気なんだけど、Tシャツにも別の命があると思っているんだ。唯、僕が作ったTシャツと、イミテーションのTシャツを両方とも買えるチャンスがあれば、絶対本物を買うと思うんだけれど…。とにかくこの問題は僕も悩んでいる最中なんだ。でも、僕がその答えを出せなくても、あとからのアーティストが、それをやってくれるんじゃないかな?

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そうですね。じゃ、話を変えて今の東京のポップ・カルチャー・シーンをどう思います?多分お店を東京に出した理由にも繋がると思うのですが。

ポップ・カルチャーは、すでに日本には定着しているし、ポップ・カルチャーが出てくるための手段や技術は完璧にあると思う。でも、今までのものは、ある意味で、外国を鏡にして作り出したものだ。もっと伝統的な日本の文化に基づいたものが出てきてもいいんじゃないかな。僕は、もともと歌舞伎は非常にポップなものだと思う。だから、ちょっと変えただけで、凄くポップなものになると思うんだけど、そういう動きが今の日本には見られない。建築やファッションなんかでは、そういうものが出てきているような気がするけど。だから東京に店を開くことによってその動きが出てくるといいなと思っているんだ。東京店では、日本の伝統的なグッズに基づいたオリジナル作品を置こうと思っているんだ。

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